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「七人の侍」から学ぶ日本の戦い方 【その2】

(弁護士の戦い方の教訓)
1.侍に対し撃退及びその方法を依頼することを決める・・・戦闘は、専門職に任せる
いうまでもなく農民・百姓は、税金を取られる側です。
刀や槍という武器を持っている侍に、野伏りの撃退及びその方法を依頼することを決めるしかありませんから、弱者とされています。
浪人も野武士も生産に従事しませんが、刀や槍を持っていますので、一応、強者です。


今年も収穫の季節となりました。
ということは、また野伏りが襲ってくる時節だということです。
百姓たちは、襲撃にどう対処するかを村人総出で、議論します。
その解決方法は、3つしかありません。
①戦って、敵(野伏り)を殲滅する。
②戦って、敵に殲滅される。
③戦わずして、敵に、米、麦などの食糧を提供する、の3択です。
ここでの決断のポイントは、「戦うか戦わないか」のどちらを選ぶかです。


現代の日本人にとっても他人事ではありません。
弁護士に依頼に来る人達も、映画に出て来る百姓達と同じ悩みを抱えています。
強い側の人達(親会社・官公庁、対アメリカ・中国と考えても可)が自分(=自社・日本)達の要求を聞き入れてくれない場合にはどうするか、という問題です。
「戦わずして勝つ」がベストであることは、言うまでもありませんが、そう簡単には上手く行きません。


「7人の侍」の百姓達はどうしたか。
村の長老の爺様のところに、相談に行きます。
そこで、侍を雇って、闘うことになります。

でも、侍を雇うことには、色々な意見が出ます。

「腹一杯飯食わせるから、守ってくれ、といって侍を雇えるのか?」、「(侍を雇わずしても)落ち武者は突き殺せるが、野伏りをも突き殺すことが出来るのか」、「首がとぶ心配をしているのに、ひげの心配してどうするのだ」等々。


「ワシは、自分の住んでいた村が、野伏りに焼かれて、お前達がうまれる前にこの村に住みついたんだが、ここへ来る途中の村は、皆焼き尽くされていた。
焼かれていなかったのは、侍を雇って、闘った村だけだった。
腹が減りゃ、熊だって山を下りる」、長老がこのようなご託宣を示します。
そこで、村人たちは、侍を雇うことにして、街道筋の街に、百姓たちの味方をして、村を守ってくれる侍を探しに行きます。


われわれ弁護士から見ると、弁護士に依頼しなければ、紛争が解決しないだろうと思われる事件について、現代の中小企業者も時には大企業も、弁護士に依頼しようとはしません。
これは、弁護士側にも問題があるかも知れませんが、頼む側にも問題があるでしょう。
日本的な正義が分かっていない大企業の担当者は、経済的な力に物を言わせようとし、形式的に法律に詳しくなった弱者の側は、すぐに弁護士に依頼して裁判沙汰にしようとします。

適正な解決は、日本人的な解決に、皆が自信を持つことです。
西欧風な解決がすべて良いのでは有りません。

2.信頼に値する侍の見つけ方・・・弁護士の見つけ方
戦いの勝敗は、必勝の信念と兵糧米(軍資金のことです)で決まります。
弁護士に、金を支払ったから、あとはお任せということでは戦い、に勝てません。

侍は、生産活動には、従事しません。
闘いが仕事です。
しかし、「腹が減ったら、イクサは出来ぬ」も真実です。
メシだけたらふく食わせたら良いか、ということも問題です。

島田勘兵衛は、「腹が減ったから、飯を食わせろ。
だが、無償じゃいかん、薪割をする」といって薪割をしていた浪人を、「腕は、中の下だが、面白い奴じゃ」と7人の侍の1人として採用します。

侍の腕に対する評価、すなわち、侍のプライドを尊重することも大事なのです。


3.侍に対する依頼のしかた・・・依頼とおにぎり(農民と侍)
農民の侍探しでも、侍から、「腹が減っても侍じゃ、お前らの施しを受けん!」と断られます。
「武士は食わねど高楊枝」、すなわち、「やせ我慢」できるかどうかが侍の命なのです。
弁護士もそうです。
だが、「腹が減ったら、イクサは出来ぬ」も真実ですから、このバランスが難しいのです。


4.侍の首領が仲間を集める・・・侍集めと勝機
 百姓が侍を直接集めようとするが、なかなか集まりません。
「一升飯を食わせて、一升酒を飲ませて・・・」、「侍の良し悪しは分からねえし、強ければ言うこと聞かないし、弱ければ、役に立たないし」と愚痴だ、そんなに、都合よく、侍が集まるわけないよ、これは、劇なんかでないよ、ということを教えてくれているのでしょう。

そうすると、また仲間喧嘩です。
「やはり野伏りと談合することだ」、と談合派の1人が言えば、戦闘派は、談合派に「今度は何を野伏りに貢ぐんだ、米や麦は必ず持って行かれてしまうんだぞ、お前の娘か、別嬪だからな!」と捨て台詞です。

ことが上手く行かなくなると、必ず出て来るのは、本質的な問題、侍を雇うか雇わないかの問題です。
つまり、ここでは、野伏りと闘うか、闘わずして談合するか、です。

侍集めは、首領に、志村喬扮する島田勘兵衛が決まります。
しかし、勘兵衛は村人から、野伏りの数が40名であることと地形を聞きとり、侍七人は必要だ、と断を下します。

侍を1人雇えば事足りると思っていた(?)百姓は、村に行き、長老に七人必要だ、と侍がいっている旨を言います。
軍資金の心配です。
人数が多くなれば、費用は増えますから心配になったのです。
すると、長老は、「七人か、それでいい、わしは一〇人は必要だと思っていた。
」と言います。
部下と話しても無駄です。
大将が軍資金を握っているからです。
弁護士を頼む場合も同様です。

大事な場面では、弁護士報酬は、社長とでなければ、決めてはなりません。
課長や部長は、会社の浮沈を賭けた戦いである場合には、向きません。
ここで「七人の侍」で行くことが決定されました。
あとは、野伏りが襲ってくる、収穫の時期に間に合わせるための、侍集めです。

弁護士も沢山の人で仕事をしなければならない場合、弁護士を集めなければなりません。
信頼した弁護士に任せることです。
報酬を支払う側の、依頼者があれこれと指図をして、弁護士選びに茶々を入れない方が良いのです。
弁護士は、各人が一国一城の主ですから皆、曲者なのです。

【その3】に続く
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