「言われた通りやったんですケド・・・」
「ケドとは何だ、ケドとは?素直にやりました、とそれだけでいいんだ!」と声が段々と大きくなります。
「はぁ~・・・」
と若井弁護士は何故幸田朗弁護士が怒っているかが分かりません。
こんな時には、本来、日本人は卓袱台返しです。
卓袱台返しは只の怒りではありません。愛情の籠った刺激策なのです、坐禅における警策のように。
卓袱台が分からない?という人もおられるかも知れませんが、卓袱台とは折りたたみ式の脚が四脚ついた食卓です。
あの巨人の星・星飛雄馬の父親がやっていた卓袱台返しの卓袱台です。
今もTVで志村けんさんが演じています。
最近どこかの地方で卓袱台返し選手権大会が開かれていることが報道されました。
昔、われわれの世代の父親はこんな時、卓袱台をひっくり返したものでした。
筆者の父親もやったものです。
妻(である私の母)は、その怒りに対し納得していない時には片付けません。
オヤジは一人で畳に落ちた茶碗やら食べ物を片付け、子供達も手伝ったものです。
卓袱台返しをやった本人はどんな気持ちで片付けていたのでしょうか?
俺が怒って悪かったと思っていたのでしょうか、それともこんなに言ってもお前は分からないのか、という悲嘆にくれて片付けていたのでしょうか?
今は会社や法律事務所に卓袱台はないので、机が卓袱台の役です。
若井弁護士の応答に業を煮やした幸田朗弁護士は卓袱台ならぬ机を平手でバン!と叩いたところ、「オッ、イテテ!」と手の痛さに耐えられません。
「クスッ・・・」と若井君が笑いをこらえます、これでは指導になりません。
とここで禅問答を思い出しました。
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