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弁護士に人脈づくりはいらない

最近のロースクール出身の弁護士から尋ねられことで多いのは、人脈はどのようにして作るのですか、という質問です。
弁護士に人脈づくりは必要ありません、といつも答えます。
人脈づくりが必要と考えている人は、その人と知り合ったことによって、弁護士としての仕事が直ちに依頼されると考えているのかもしれません。

人との付き合いは、親子夫婦兄弟関係に始まって他人に至るまで、利害関係というには余りにも複雑怪奇につながり合っており、人脈などという損得を中心としたものではありません。
人脈づくりと称して異業種交流会という勉強会が多いようです。
異業種交流会に参加するのは結構なのですが、そこで顧客が見つかる訳ではありません。
そこに参加する人の目的は様々です。
人脈づくりの質問をする弁護士は、所詮は、どんな人が顧客を紹介してくれるのか、という質問の答を求めているのです。

そう割り切って、質問に答えるとすれば、一番事件を持っているのは、弁護士ですから、先輩弁護士やベテラン弁護士と人間関係を作ることです。
それも損得勘定を抜きにして、事件を処理して差し上げることです。
自分にない知識・経験が事件処理に必要な場合には、信頼する知人・友人に紹介してくれる筈です。
人を紹介するということは、紹介者がその人を紹介に値する人物と認めていることが前提です。
従って、常日頃より、信頼される人物になっていなければなりません。
「類は友を呼ぶ」、「朱に交われば赤くなる」とも言います。ただ精進あるのみではないでしょうか。

事件の依頼を受けるのはどんな場合でしょうか、という質問であれば、それはまず自分の身近の人が紹介してくれます。
まずは、民事であろうと刑事事件であろうと、一生懸命に自分の事件をやってくれた弁護士に、次の機会があればまた依頼したいと思うものです。
それはイソ弁と言われようとも、勤務弁護士と言われようとも一度事件を担当し、一生懸命解決に当たってくれた弁護士を、依頼者の方が「いい弁護士がいるよ」と第三者に紹介したくなるものの様です。
ですから、弁護士は損得を考えず、一旦、受任した以上、目の前の事件の解決に一所懸命務めることです。

筆者の友人には、高校、大学の同窓会の幹事を務めたり、青年会議所、ロータリークラブやライオンズクラブに入っている弁護士も多々います。
また、飲み屋さんで隣り合わせた人から、事件の依頼を受けた人もいます。
また、全くそのような活動をしない人もいます。

小学校のPTAや父母会、地域の会合、ボランティア活動その他弁護士は、色々な人達と交流する機会がありますが、他人はお互いに観察しあって共同体を作っているのですね。
だったら、どんな団体であっても損得勘定を捨て、人の集まるところに行き自分の知らない知識・経験を学ぶのがいいと思います。
当面は、ひたすら、自分の弁護技術を磨くことです。そうすれば、おのずと事件の依頼はあります。
というと、ビジネスではそんなことはありません、という声が聞こえるようです。
良い製品を作れば売れるかというとそうではありませんよ、と。
しかし、心配することはありません。まだ日本は、弁護士業務がビジネスになるには、間があります。
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