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外部交渉と内部交渉

交渉には「対外交渉」と「対内交渉」があります。

今、Aさんの家庭に予想外の金銭が入ったとします。
そのお金をどうするかについて、家庭内で交渉が始まります。
液晶テレビをもう少し大きい奴に買い替えようとか、いや3Dプリンターを買いたいとか、貯金をしておこうとか、喧々諤々です。
これがまず、対内交渉です。
買いたいものが決まると、今度はどこで買うか、つまりヤマダ電機にするかビッグカメラか、はたまたネットオークションにするかを決め、商品と値段を、売り先と交渉するのです。
これが、対外交渉です。自分が、交渉人を任されたなら、交渉は対外的なものばかりでなく、対内的なものも大事である、ということをも知っておかなければなりません。

国家対国家の場合の交渉について考えても同様です。
対外的、対内的双方の交渉ともに重要であるということが、よく分かります。

(交渉は「理と情」の妥協)
日露戦争の際には、日本の全権小村寿太郎とロシアの全権ヴィッテが1905(明治38)年9月、アメリカにおいて講和条約(ポーツマス条約)に調印しました。
しかし、戦時賠償金がまったくとれない講和条約に国民は、不満を爆発させ、講和条約調印の日に開かれた講話反対国民大会は暴動化しました。日比谷焼討ち事件と言われる事件です。(詳説日本史 改訂版 山川出版社272~273頁参照)
この日比谷焼討ち事件は、対内的な交渉、すなわち政府首脳が、対外国との交渉に当たる場合に国内世論の動静を如何につかむ、かが重要であることを我々に教えてくれています。
政府首脳は、わが国の対ロシアとの戦争継続能力等の、事実をしっかりととらえ、小村寿太郎という交渉人を支えたのです。
しかし、件の国民はそんなことを知りません。
いや、理屈では知っていても、交渉の責任を持っているのではありませんから、感情にはしって、焼き討ちにはしったりするのです。
交渉は、「理と情」との妥協を図る歩みでもあります。

(相手は一枚岩か?)
相手方と交渉するに際し、味方の足並みがそろっていた方が交渉をし易いことは事実です。
内部組織の意見統一に勢力を取られることなく、相手方との交渉に力を注ぐことができるからです。

第2次世界大戦の際、陸軍が本土決戦を強硬に主張していたので、昭和天皇のいわゆる『聖断』によりポッダム宣言受諾が決定され、太平洋戦争は終了したかのような見解が一般的です(前掲・詳説日本史改訂版 344~345頁参照)。
つまり、戦争終結に反対したのは、「陸軍」であり戦争継続一辺倒の一枚岩であったかのように考えられています。
しかし、交渉当事者の内部に入ってみると、一枚岩に見える陸軍の内部は、必ずしも一枚岩ではなかったのです。
日本陸軍も「一枚岩」だったか、という疑問を持ち、「海軍善玉・陸軍一枚岩・陸軍徹底抗戦」史観のウソ、の解明に挑んだのが、山本智之著・「主戦か講和かー帝国陸軍の秘密終戦工作」(2013年6月30日発行 新潮社選書)です。
組織、特に巨大組織は、内部に様々な意見を抱え、それらを統一するのが大変なのです。
昨今のTPP交渉をみてもわかる通りです。

民主主義国家は、国内の意見をまとめるため力を注がねばなりません。
これが国民世論というものです。
全体主義国家は、権力を有している人が、決めれば対内的な方針が決まり、あとは対外的な交渉に全力を注ぐことができるので、交渉を有利に進めるこという訳のものでもありません。
交渉当事者の力量、つまり国力相応の妥結点に至るものです。
国際交渉に当たる政府の要衝にある人達は、国内、すなわち内部交渉をしっかりとし、対外的な交渉に当たらなければなりません。
日中、日朝、日韓交渉であってもこの原則は変わりません。
各国の政府首脳は、事実関係をしっかりと認識し、対内的・対外的交渉に当たる必要があるのです。
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カテゴリ: 弁護士の交渉術

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