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交渉・まえがき

「いいか、オマエよく覚えとけよ。勝つ事件ばかりじゃないぞ!」

筆者は、弁護士に成り立ての頃、このように相手方の代理人弁護士から罵声を浴びせられました。
「しまった!」と思っても、あとの祭りです。
この一言が、和解交渉決裂の瞬間です。

未熟な若い弁護士であった筆者の言葉が、ベテラン弁護士を怒らせてしまったのです。どんな事件であったのか、またどんな言葉が相手方の気に障ったのか、相手弁護士の名前は何と言ったのか、もう約40年前のことですから、遠い記憶の彼方にあります。

しかし、私の言葉が相手方を怒らせてしまい、なぜそうなってしまったのか、妥協するのが適切であった交渉が決裂してしまった事実は、鮮明に覚えています。

交渉は午後でしたが、午前中は仕事に追われていたので、昼食を食いはぐれてしまい、その上風邪気味だったのです。
イライラしていたものですから、きっと相手方の先輩弁護士に対して、失礼なもの言いになったのです。
弁護士は、和解交渉が上手にできなければ、一人前ではないと教えられていましたが、それまでは交渉に関する書物は一切読んだことはありませんでした。

それから、交渉に関する本を見つけると買ってすぐ読む時代が続きました。
本の数は大きなリンゴ箱一箱になり、次はその読んだ本に書かれていることの実践です。
そして、他人の交渉事の観察です。
筆者の周りには、交渉事の上手く立派な弁護士が多数いましたので、交渉術の勉強になりました。
今の弁護士は、「交渉事が下手くそだ」、という年齢になり、それなりの経験をも積んできました。
本書が交渉事に興味を持つ方々の一助になれば、筆者の失敗経験も生きる、というものです。
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カテゴリ: 弁護士の交渉術

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