「実行支配地域の確立」から「敵国での大規模テロ」との両立に戦略転換したのが事実とすれば(事実なのでしょう。秋山記者は「可能性がある」と慎重ですが)、これは空爆が実効性があったということを意味します。
その後、パリ同時多発テロ、によって米ロ、仏ロ、ロシアとイラン、トルコ(G20の議長国・イスラム教徒の多い国)、はテロ対策で各々、連携することを決断しました。
安倍首相も11月15日夜(日本時間16日未明)に英国のキャメロン首相と会談し、緊密な連携で一致しました(2015年11月16日付日経新聞【アンタルヤ=島田学】記事による)。
これで、米英露仏の四大国(=国連の常任安全保障理事国)のテロ集団対策での足並みが揃いました。
米ソ冷戦時代からの対立構造から、これまでは、アメリカはロシアに対し、ロシアはアメリカに対し、政治・経済のあり方に注文を付け、ことごとに対立して来ました。
例えば、イラン、北朝鮮の核開発・クリミヤ、ウクライナ問題など。
ロシアは共産主義が崩壊し、国民の選挙によって最高責任者たる大統領が選ばれる国家になったにも拘わらず、アメリカはロシア型民主主義(!?)を認めようとしませんでした。
昔からのロシアの栄光(ソ連時代を含む)を忘れられない指導者(例えば、プーチン大統領)は国益第一で、アメリカの期待する世界秩序に従いません。今回のシリアのアサド政権擁護のように
しかし、イスラムの過激テロ集団は、今回のパリ同時テロを起こすことによって、世界中の人々(イスラム教徒の大半をも含むでしょう)を敵に回すことになりました。
まず、米英仏露の団結です。これらの国々が現在の世界覇権国家なのです。
あとは細かいことがありますが、この四大国がまとまれば、ISの支配地域を空爆し、地上軍を派遣し、奪還することだけです。
それが第一の目標になります。
シリアのアサド大統領の処遇は後回しです。
親アサドのロシア・イラン、反アサドのアメリカ・フランス・トルコ・サウジアラビア等々。
米ロの握手が出来れば、後は交渉によって決まります。
ISを壊滅する枠組みが問題になります。有志連合(アメリカ中心)で行くか、ロシアが独自で空爆を続けるのか、或いは何らかの米ロの役割分担で行くのか(第二次大戦のときのように)、その間を取り持つのは、フランスです。
ここで注目すべきは、プーチン大統領の意識が、ソ連邦時代の大国の指導者としてのそれなのです。
プーチン大統領は大国の指導者を自負してるのが強みなのです。
それは、「わが国が、そして私が、世界の秩序を作る指導者なのだ。
他国の容喙は許さない」という大国の政治指導者の責任と意志を持っていることです。
大国とは何でしょうか?軍事力がないと大国であるとは他国が認めてくれないでしょう。
経済力も同様です。
かってのアメリカは、抜きんでた軍事力のみならず、経済力、人文科学の分野においても世界に冠たる国家でした。
今でも国力は世界に第一のものですが、昔に比べると、劣っています。
アメリカ国民はかっての栄光に酔っている遑はありません。国力が落ち目になっているからです。だから内向きにならざるを得ません。
大統領は国民の心を映す鏡なのです。
ですが、ロシアとプーチン大統領は違います。
プーチンさんの政治力がISを壊滅します。
ロシア国民は、アメリカのように豊かになりたいという欲望の前に、自国が世界に「冠たる大国」でありたいのではないでしょうか?
まだ、真の弱肉強食の資本主義を知りませし、西欧諸国のような民主主義に染まっていませんから。
プーチンを買いかぶり過ぎじゃないか、ということですか?
それでは、誰が、この混乱した世界をまとめられるだけの意志と決断力を持っているでしょうか?
オバマ大統領ですか?
オバマさんは、アメリカが未だ大国なのにもかかわらず、その責任を果たすことに断固たる意志を示し、決断できませんね。アメリカ国民が内向きになってしまっていますから。
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