国家は、輸入品に対して何パーセントの関税を課するのか、という関税自主権を持っていますが、この関税を撤廃・削減しようというのが、自由貿易協定(FTA)です。
TPPは、関税の撤廃や削減といった物品市場アクセスやサービス・貿易の自由化という従来の自由貿易協定(FTA)にとどまらず、関税以外の広範な非関税分野(投資・競争・知的財産・政府調達等)や新分野(環境・労働等)を含んだ包括的な貿易・投資のルールを多数国で交渉し定めるものです。
全世界共通の世界貿易機関(WTO)の協定内容にない、電子商取引・競争政策・労働・環境といったルールを決める先端的な内容で、実質的な世界標準のルールです。
参加国は、日本・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・マレーシア・ベトナム・ブルネイ・アメリカ・カナダ・メキシコ・ペルー・チリの12カ国です。
世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める人口8億人の巨大な自由貿易圏の誕生となります。
その範囲は、全31分野に及び、日本企業は域内に、日本以外の域内企業も日本に進出しやすくなります。
ヒト・モノ・カネの移動が活発になる仕組みです。
TPPは多国間で結ぶ条約ですから、参加各国の国内の議会で承認(批准)されなければなりません。
協定の発効のための条件は、
①署名から2年以内に全交渉参加国が批准した場合、最後の国の批准から60日後に発効
②この条件が満たされない場合、原則として、域内総生産(GDP、2013年)で85%以上且つ6ヶ国以上が批准すれば発効します。
アメリカ(域内GDP比60.4%)又は日本(同17.7%)のどちらかが欠けると「85%超」という発効条件が満たされませんので、発効には日米両国の批准は絶対条件です。
参加国は、日本・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・マレーシア・ベトナム・ブルネイ・アメリカ・カナダ・メキシコ・ペルー・チリの12カ国です。
アメリカ東インド艦隊司令長官ペリーは、1853(嘉永6)年6月、黒船(軍監)4隻を率いて浦賀沖にやってきた。いわゆる黒船来航です。
日本はアメリカとの間に、1858(安政5)年、日米修好通商条約を調印しました。この条約には、
「(1)神奈川・長崎・新潟・兵庫の開港と江戸・大阪の開市、(2)通商は自由貿易とすること、(3)開港場に居留地を設け、一般外国人の国内旅行をことなどが定めてあった。さらに、(4)日本に滞在する自国民への領事裁判権を認め(治外法権)、(5)関税についても日本に税率の決定権がなく、相互で協定して決める協定関税(関税自主権の欠如)を定めた不平等条約であった」(改訂版詳説日本史・山川出版社229~230ページ)ことに比すれば、何という日米両国の変わりようでしょうか。
スポンサーサイト