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遺言で後継者を決めたらどうなるか?

中小企業の後継者は、血縁者それも子供のうちの誰かであることが多かった。
その場合に問題となるのは、承継される事業会社の株式の評価及び事業を承継しない他の相続人たる兄弟姉妹と事業承継者たる相続人間の相続財産の平等・公平さでした、といっても過言ではありません。
家業は跡取り息子や娘が当然に継いで、親を手助けし事業を、盛り立ててゆき、他の兄弟は高等教育を受けさせてもらったり、又は結婚する時に幾ばくかの持参金をもらって、実家の家長たる父親が亡くなった場合は、身を引く、すなわち、実家の事業は事業会社の株式を含め当然に父親とともにその事業に携わっている子供が相続する、という時代が戦後もしばらくの間続いていたのです。

しかし、相続法つまり民法の規定は、兄弟姉妹たる相続人は相続に関して平等であり、親が亡くなった場合財産を平等に相続することに決まっています、すなわち均分相続なのです。
親と共に実家の事業を営んでいるかどうかは相続に関して原則として考慮されません。
一般に事業を親と共に営んでいた相続人に相続財産の分割に際して考慮されるのは「寄与分」(被相続人の事業会社の価値を下げない又は増加することに力があったことが、相続の際に一定の範囲で考慮されること)の制度と親の残した遺言ですが、昔とは違い、中小企業であっても世界に伍して行ける会社が現れたり、相続人も実家の事業存続に執着するよりその財産的価値に目が行くようになりました。
中小企業は、人的・財産的基盤が大企業に比べて脆弱です。
中小企業主たる父親が亡くなった場合に相続人間で会社の主導権争いを行っている場合ではありません。
また、優秀な中小企業は、その事業会社の株式価値も高い、ということは相続税が高く相続税の納付することが事業の後継者の肩に重く圧し掛かってくるのです。

そこで、中小企業の事業承継を円滑にしよう、という目的で「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、「経営承継円滑化法」と略す)及び遺留分に関する民法の特例制度が制定され、平成21年3月1日から施行されています。

(遺言で後継者を決める)
「ネェー、お兄さん、お父さんに遺言してもらっておかない。お母さんも年だし・・・2番目のお兄さんも入社したことだし、お姉さんにも相談して遺言してもらいましょうよ。会社の後継ぎを決めてもらっておきましょうよ。」
と兄妹で話したかどうかは別にして
遺言書を書いておけば、後継者の争いを防げるか、という問題があります。
事例をあげてみましょう。

(遺言書1.)
1.(略)
2.一澤帆布工業株式会社の株式につき、次の通りとする。
 3万株を一澤信三郎に遺贈する。
 2万2275株を一澤喜久夫に遺贈する。
 1万株を一澤恵美に死因贈与する。
3.4.(略)

(遺言書2.)
1.2.(略)
3.一澤帆布工業株式会社の株式は5分の4を長男一澤信太郎に、5分の1を四男一澤喜久夫に相続させる。
4.5.6.(略)
7.従前に作成した遺言書はこれを取消す。

これは、京都の老舗である帆布カバン店一澤帆布工業株式会社の先代一澤信夫氏が残したとされる遺言書です(菅聖子著・一澤信三郎帆布物語・朝日新書より引用)。
これらの遺言書によれば、株式の大半を取得するのは、前者が信三郎・恵美(両者は夫妻)、後者が信太郎、となっています。
経営陣を選出するのは株主総会なので、株式の大半を取得する者が事業、すなわち会社の後継者であるのが一般です。
そこで、一澤帆布工業の場合にはどちらの遺言が有効かについて、兄弟間で争われました。遺言書を残した先代にしてみれば、子どもたちで争うことを欲してはいなかったでしょうし、子どもたちに期待していたのは、会社の更なる発展と成長だったのではないでしょうか。

しかし、この例のように、遺言しただけでは後継者を決めることが必ずしもすんなりとは行きません。
それは何故か。
その答えは簡単です。
それは、遺言は、遺言者が何時でも書きかえられることと、遺言者の死後、事業を継続して経営して行くのは、子どもたちのうちの誰かですので、兄弟姉妹間で必ずしも意見の一致があるとは言えないからです。

それでは、その対策はないのでしょうか。
金科玉条の対策はありません。天上天下唯我独尊、というではありませんか。
自分を信じ、他の兄弟の意見に左右されないことが、一番の対策といえば対策です。
つまり、事業承継の本質を理解することに尽きます。
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