エジプト東部のシャルムエルムシェイクという地方は、ロシア人の良く行く保養地になっているようです。
したがって、旅客機がロシア機、墜落の事故被害者の乗客にロシア人が多いわけです。
シリアはアサド大統領が統治していますが、反アサド派に押され、また、シリア領内にイスラムの過激派組織ISが進出(侵出?)し、支配地域を拡げています。
この地域が安定しない事には、西欧諸国はイスラムの過激派のテロに脅かされることになります。
また難民の侵入(進入?)が絶えません。
そういう状況下にあるこの地域にロシアは進出(侵出?)し、中東地域におけるプレゼンスを高めたいわけです。
アメリカは反アサド勢力を支援しており、アサド政権を倒して親アメリカの政権を樹立したいのですがそうは行きません。
そんな情勢下にあるシリアにISが、支配地域を拡大します。
シリアをISの支配する地域にすることは、アメリカが赦すことができません。
アサド政権であっても安定した政権で、交渉の余地があるのであれば、アメリカは我慢できるのです。
ロシアは、彼の地に足場がありません。
一応、反アメリカのアサド大統領は親ロシアなのですが、アサド政権は弱体過ぎるのです。
そこで、プーチンは、2015(平成27)年9月30日、シリア領内を空爆し、10月7日巡航ミサイルで攻撃しました。
反アサド勢力、過激テロ集団であるISを攻撃したのです。
反アサド派を攻撃するのではない、ISテロ集団をシリア安定のために攻撃するのだ、と言われると米欧諸国はロシアの攻撃を非難することに及び腰にならざるを得ません。
しかし、欧米諸国の指導者たちは、火事場泥棒的なプーチン大統領の攻勢に苦虫をかみ殺したことでしょう。
プーチン大統領の攻勢は、シリア情勢をめぐる協議にイランを参加させることをアメリカに認めさせる等軍事行動から外交交渉に移りつつあったのです。
プーチン大統領の交渉力は、硬軟織り交ぜて、一見、見事なものがあります。
リーダーとしての資質はあるし、一国の指導者として人間的魅力をも備えているのでしょう。
しかし、国家が国民の意志で動く民主主義の国にあっては、国民の意向を無視するわけには行きません。
国民の意向はどこに向かうか、という問題です。国民の民度と国力が物を言います。交渉人の力量ばかりではないのです。
依頼人の意向を無視しては、相手方との交渉もままならない弁護士と同様なのです。
そこへ、10月31日、エジプト・シナイ半島でロシア機の墜落が起こりました。
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