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3-4 本土決戦か(?)-男女間の終戦

大井さんは、幸田朗弁護士のアドバイスに従って、野瀬女史と昼、レストランで会うことになった。

「大井さん、又、夜ホテルで彼女と会って別れ話をするなんてだめですよ、元の木阿弥になりますよ
と冗談とも本音ともとれる幸田弁護士のコトバを思い出したからである。できれば、もう一度、彼女と同衾したかったのであるが、その想いを振り切ったものである。

大井さんは「君の話はよくわかった。子供を産んでほしい、人間に生まれてくるのは難値難遇だからね。ここに2、000万円ある。これを当座の費用に充ててくれ、これで子供の責任をとれるとは思わないが、君もこれからいろいろと金がかかるだろうから、これを使っておいてくれ」と言いながら、紙袋をテーブルのうえに置いたものである。そして、深々と頭を下げた。心なしか、大井さんの目は、彼女の顔から下腹部を見つめたかのようだった。
もちろん、領収書をくれなんてことは言わなかった。
そして、付け加えた。
「私もいろいろ考えた。今日以降、君に会ってくれなんてことは言わない、子供ができたのであれば別だ、その時は責任をとるつもりである、だからその時には、遠慮なく申し出てほしい」
彼女は、その紙袋をじっと見つめ、次いで頭を下げ、
「色々とお世話になり、ありがとうございました。楽しい期間を過ごさせていただき、勉強もさせて頂きました」と言いながら、なかなか頭を上げようとはしなかった。

その翌日の日中、大井さんは幸田弁護士に会い、事の顛末を報告した。
「大井さん、戦ったんだ、自分の欲望とね。そこまで執着を断ち切ったというのはエライね。私なんぞは凡人なので、そこまでは出来ませんね。ところで彼女が子供を産んだらどうします?」
大井さんは、「幸田朗先生ともあろう方が、なにを今更いうのですか、人として生まれるのは難値難遇ですよ。私は父親としての責任をとるだけですよ」
と言いながら、スーツのポケットに手を入れ、100万円の入った祝儀袋を取り出し、
「これは、少ないでしょうがお礼の印ですのでお納めください」と言ったものである。

大井さんが、幸田弁護士とあったその日の夜、ホテルの最上階のバーに、野瀬さんとおぼしき妖艶な女性と若い男性の姿があった。
「ほら、俺が言った通りだっただろう、子供ができたと言えば男は慌てふためき、これで
子供を下ろせとかなんとか言って、男は金を払ってくると言ったろう。いくら貰ったのだ、そのうちの何割かは俺に払ってくれてもいいだろう」と言いつつ、男はその右手を女の腰に回していた。その時、女は男にいくらくれてやってこんな詰まらない男と別れてやろうか、と考えていたが、男の方はそんな女心を知る由もなかった。
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